2019年11月4日月曜日

アイヌ民族3

現在、政府は、アイヌ文化に関する巨大な博物館を、北海道の白老町建設しています。丁度オリンピックの直前、20120年4月にオープンと言いますから、北海道観光の新たな名所となるでしょう。しかも、その趣旨には、「・・・我が国の貴重な文化でありながら存立の危機にあるアイヌ文化を復興・発展させる拠点として、また、我が国が将来に向けて、先住民族の尊厳を尊重し差別のない多様で豊かな文化を持つ活力ある社会を築いていくための象徴として、・・・」と、美しい言葉が並んでいます。

通称「ウポポ」という愛称であるという、200億円をかけた、この国立の「民族共生博物館」は、アイヌの人たちに分断をもたらしている、という記事を、ジャパンタイムズで知りました。

それは、民族意識に目覚めたアイヌの人にとっては、素直に喜べないようです。なぜか。それは、次の現実があるからです。2017年の調査で、アイヌは13000人だそうですが、本当はもっと沢山いるということです。それらの人の大学進学率は、日本人全体の半分で、収入も大幅に少ない。日本人はアイヌを受け入れないから、差別を恐れるアイヌの人は、アイヌであることを隠して子供にも教えない、自分がアイヌであることも知らない、そうした「サイレントアイヌ」が多数いるといいます。そして、今まで奪われた歴史に対する謝罪も、補償もない、そういう国が、突然に、「民族の共生」と称して、博物館をつくり、そこで、アイヌ文化を展示しても、アイヌの人にとって、観光の道具にされている、としか思えないのは当然ではないでしょうか。そこで、観光客の前で、アイヌの唄や踊りを演じるアイヌの姿は、私は、想像するだけで、哀れをとおりこして、怒りを覚えます。

もちろん、アイヌの人の中にも、民族博物館に、経済的メリットがあるということで、賛成の人もいるといいます。そこには、貧しい状況に置かれた人たちをお金の力で、説き伏せようとする、あの原発と同じ構図と、住民の分断があります。









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