2019年7月31日水曜日

マイナンバー制度は怖い

マイナンバーカードの普及が、進んでいないらしい。現在約13%、1656万人だという。そこで、総務省は、まず公務員に、カード取得を促すため、自治体と共済組合が一体となって、カード取得を「勧奨」する考えだという。つまり、半ば強制だ。

為政者にとって、マイナンバーは、便利この上ない。例えば、税の徴収で、資産や収入の一元管理ができるから、税収は確実に増えるだろう、しかも手数は減る。又、生活保護などの審査も容易になるだろう。年金の事務作業は、格段に楽になるだろうし、間違いも減るだろう。高齢化で持ち主不明になった家屋などの問題も、解決が容易になるかもしれない。色々いいことがあるのは、否定しない。

ビッグデーターの活用が、政財界で喧伝されている。そこでは、役所などの公的データと、ネット関連の民間データの結合により、巨大な価値が生まれるという。それが、安倍政権の成長戦略の重要な柱だ。勿論、情報は、匿名化されて、個人情報が漏れることは心配ないという。はたしてそうだろうか。今まで、何度も漏れている。更に、実は匿名情報を、個人名付きの情報に変換することは、それほど困難でないという研究者もいるらしい。

怖いのは、まる裸にされた個人の情報は、それを高いお金を出しても買いたい人が沢山いるがために、高い市場価値を持つことだ。探偵、探偵を雇う金持ち、競争相手の企業の弱点を探す巨大企業、敵の弱点をさがす政治家、闇の仕事をする内閣官房調査室、・・等。
例えば、社員の採用業務をする人事課用には、個々人が、どのような思想を持っているかなどが数値化され、そのリストは、闇市場を通じて高額で売買されるだろう。だから、そうしたリストをつくって、一山あてようとするハッカーが、暗躍するだろう。闇の巨大市場が生まれ、海外に拠点を置く闇の巨大企業が生まれる。セキュリティ対策は、こうした渦巻く欲望を相手に、太刀打ちできるのだろうか。


2019年7月30日火曜日

天皇制軍国教育

昨日、NHKのファミリーヒストリーという番組で、俳優の仲代達矢(86歳)が、終戦時を思い出しながら、印象的なことを語っていた。1945年8月15日、周りの大人どもは、あれだけ鬼畜米英と、軍国主義的だったのが、たった一夜にして、アメリカ歓迎のゆるキャラ人間に変わっていた。その急変により、大人に対する深い不信の念を抱くようになった、と。

よく、日本人は天皇制教育によって、洗脳されたといわれる。本当に洗脳されたのなら、一夜にして、変わったりするだろうか。多くの国民はさほど洗脳されてはいなかったのではないか。

大岡昇平氏の「不慮記」という、自分のフィリッピンでの戦争体験をもとにした小説がある。彼は、左翼でも何でもないが、そこで見たのは、帝国軍人の精神的堕落だった。だから、彼は、本気で、友人と脱走しようとする。あれほど、天皇万歳と叫んでいる軍人ですら、闘いの正当性を、心の底から信じて戦っていたわけではない、だから、そのエネルギーは外に向かうというより、えばったり、下位の兵士をいじめたり、エゴイスティックな行動に向かう。

根本的に誤った侵略戦争を正当化するために、いくら軍国主義教育をして人間を洗脳しても、その教育は人間を深い所から変えることは不可能だった、のではあるまいか。

2019年7月29日月曜日

徴用工問題その3

徴用工問題に端を発する日韓の対立が泥沼状態だ。相談を持ち掛けられたWTOからは、「両国でよく話し合え」と言われた。トランプも、迷惑顔の及び腰だ。夫婦げんかで、自分らで解決できずに、実家や親戚まで巻き込もうとするみたいな、みっともない状態で、リーダーであるべき日本は世界の笑いものだ。安倍外交の無策無能極まれり、の状態だが、マスコミは、何の批判もしないで、相変わらず、政府寄りの、国民を煽る報道ばかりだ。

同じ敗戦国でありながら、ドイツは、周辺国の間で、指導的立場を確立しているのは、誠実に過去の歴史に向き合ってきたからだ。

例えば、ナチスドイツによる強制労働の問題に対しては、ドイツ国家及び6400のドイツ企業が、「記憶・責任・未来基金」を創設して、これまで100か国、166万人に対して、44億ユーロ(7200億円)の賠償を支払っている。

韓国も類似の提案をしてきたが、日本はかたくなに、話し合いを拒んでいる。


2019年7月28日日曜日

皇位継承と男系天皇

国民の多くは、女性天皇でもいいと思っている(このようなことは、男女平等の原則からあまりにも当たり前だ!)のに、安部氏ら、靖国派と言われる人は、男子天皇にこだわっている。そのせいで、皇位継承の問題が一歩も前にすすまない。
伝聞だが、「皇位継承の中世史」という本によると、直系男子が皇位継承するという今の形が定着したのは、南北朝時代の内乱、混乱が収まって、足利将軍が、皇位決定権を掌握した時代であるという。

当時もその後の戦国時代も、天皇は、権力も富も失い、戦国大名にとっても、利用価値はなくなっていた。このことは、織田信長が、自らを権威づけるために、天皇でなく、足利義昭を利用したことでもわかる。一橋大学名誉教授の池亨氏は、「室町幕府は天皇の存在を持て余すようになり、『家』の最低限の存続を図った結果が、直系男子による皇位継承だったとも考えられる」と述べている。

もし、これが正しいなら、男子直系を、特別なものと考える根拠はどこにもない。ちなみに、足利幕府の開祖の足利尊氏は、建武の新政で、天皇に反旗を翻し、湊川の闘いで、天皇の忠臣楠木正成を倒し、天皇親政を打倒した、憎い朝敵とされた人物である。

2019年7月27日土曜日

NHKはどうあるべきか

平和憲法を基礎とする戦後民主主義のシステムは、政治、教育、その他、沢山あるが、NHKもまた、敗戦と占領がもたらした戦後民主主義の重要な柱ではないか。

旧日本放送協会(NHK)は、戦前、日本軍国主義の下で、盛んに誤った放送を流し(大本営放送)、国民を欺き、国家の侵略戦争遂行に協力してきた。その重大な反省の上に今のNHKはある。だから、NHKは次の、一見矛盾する次の二つの原則の上に成り立っている。

1.国家からの独立(国から金をもらわない)→自前の収入システム(NHK受信料)
2.公共放送である(企業から金をもらわない)

NHK受信料は、上の原理を素直に解釈する限り、税金のような義務ではなく、いわば寄付に近い。国民がみんなで、お金をだして、嘘のない放送を確保する、それがNHKである。
(2017年最高裁判決で、受信料支払いが、国民の義務であると認定したが、それでも、1と2の原則を否定したわけではなく、逆にこれらを維持するためとしている)

今のNHKに、私は、大いに不満である。例えば、前の籾井会長は「政府が右といえば、右を向く」と公言した。今の、午後7時や9時のニュースも、政府の政策の宣伝場になっているので、見る時間が長い人ほど、政府の支持者に洗脳されるようにできている。

だからといって、私は、N国党のように、NHKを見る人だけがお金を払う「スクランブル方式」がいいとは思わない。NHKに問題があれば、どんどん意見をいって、NHKを、政府の介入から守る姿勢が大事だ。現在、NHKの執行部ともいうべき経営委員会の委員は、衆参の議会の同意のうえ、首相が任命する。安倍政権は露骨に右寄りの人事をしてきた。その結果が籾井氏のような人が会長になる。その結果、NHKは、お金を払っている国民の方を向くべきところ、政府の方ばかり向いている。国民は抗議をする権利と義務がある。

NHKは戦後民主主義の一つの遺産である。N国党のように、「ぶっ壊」したあと、ネットやスマホを持たない人たちは何に頼って正しい情報を獲得できるのか、ぶっ壊して喜ぶのはだれか。



2019年7月26日金曜日

格差解消へ前進、アメリカ

7月20日、アメリカの下院で、最低賃金15ドルが可決したという、2025年まで段階的に引き上げるという。これから色々な妨害もあるだろうから、どの程度の確かさかはわからない。しかし、15ドル(1600円)なら、月に20日働いたとして25.6万円だから、そうとう改善される。

素晴らしいのは、こうした改善が、一朝一夕にできたわけではないことだ。今まで、ウォールマート労働者など企業単位での闘い、カリフォルニア等州や地域単位でのの闘いなど、全米で、こうした最賃引き上げの運動が盛り上がっていた。

もともとは、凄まじい格差に対する抗議として、2011年「ウォール街を占拠せよ」というオキュパイ運動が始まりだ。その勢いが、米大統領選での、バーニー・サンダース氏らによる社会改革運動につながった。大勢の若者が、寄付に応じて、選挙運動をして、巨額寄付金に支えられるクリントン氏と互角に戦った。だから、

オキュパイ運動 → B・サンダース氏らの闘い → 最賃引き上げ運動

は、一連の格差反対運動である。最賃の引き上げは、確実に格差を減らす。ここには、地道で息の長い運動がある。アメリカの民主主義の底力だ。

2019年7月25日木曜日

人間がこわい

トイレや、エレベーターで見知らぬ人と一緒になると、思わず警戒する。
「誰でもいいから殺したい」と思っている人ではあるまいか、と。人混みを歩くときは
肩などぶつからないよう極力注意する。すぐ切れる人にぶつかり、傘で目を突かれたり
されやしないか、と。

イライラが蔓延しているのだろうか。その原因はしらないが、格差社会がその背景にあるのではないか。どっかの野党党首が選挙の時、言っていたが、現在汗水たらして働いても、年収200万円に届かないワーキングプアと呼ばれる労働者が、1100万人、1割もいるという。

10月から消費税増税、これは逆累進課税で、低収入者高負担の税だから、格差推進の税である。

選挙が終わったとたん、「日雇い派遣法」の見直しの審議が始まるという。この法律は、ネットカフェ―住民などが社会問題になった時にできた法律で、30日以内の短期の派遣契約を原則禁止する、という法律らしい。この禁止を「緩和」する方向で、審議するという、これまた、派遣労働が一層増大するという意味で、格差推進の政策だ。

2019年7月24日水曜日

ジョンソン新首相のEU離脱

イギリス離脱強硬派の、ボリス・ジョンソン氏が、イギリスの首相になった。10月31日が、交渉期限だそうだ。

経済的混乱がいろいろ予測されている。しかし、もう一つ困難な問題がある。
アイルランドは分断国家で、独立国家であるアイルランド共和国と、英領である北アイルランドの二つがある。英領北アイルランドでは、アイルランド統一派(ナショナリスト)と親イギリス派(ユニオニスト)の、血なまぐさい対立抗争があったが、1998年にベルファスト合意で、ようやくおさまった。そして、アイルランドも、英領北アイルランドも、EUに加盟していたから、分断国家とはいえ、国境は実質消滅していた。

しかし、イギリスがEUを離脱すると、当然北アイルランドも離脱する。一方独立国アイルランド共和国は、EU加盟国だから、再び国境が復活せざるをえない。それは、北アイルランドの統一派にとって、容認できない事態だろう。せっかくおさまっていた、北アイルランド内の、対立抗争が再び起きる恐れがある。それだけは絶対避けたい。

国境を復活させないで、EUを離脱する妙案はあるのか?今まで、これだけ議会で議論して見つからないのだから、そんなものは、ないのだろう。勇ましく強硬離脱を主張するジョンソン首相だが、これからどうするのだろう。

2019年7月23日火曜日

映画、戦場のピアニスト

ポーランド出身のロマン・ポランスキー監督による、少し古い映画、「戦場のピアニスト」を見た。ドイツ占領下での、ポーランドで、ドイツがユダヤ人をいかに残虐に扱ったかが、詳しく描かれている。それは、今更ながら、私たちに様々なことを考えさせてくれる。映像の持つ力を感じた。ポランスキー自身、類似の体験者だった。

日本兵も様々な、残虐非道な行為を、アジアの人々に行った。しかし、そのことを、教えてくれる映画を、私は、数えるほどしか知らない。日本の非道さを描いた映画では、高校時代に見た、「人間の条件」は、衝撃的で、その後の僕の人格の一部になったっと思う。2000年の中国映画、「鬼が来た」は、被害者の側から見た、日本軍が描かれており、今も深く心に残っている。

現在、若者は、ドイツのユダヤ人への残虐行為を告発する映画は見ているかもしれないが、自国の軍隊の残虐行為の映画をみているだろうか、そんな映画はないって?

実は、私は不勉強でよく知らないが、中国や韓国にはたくさんあるらしいし、被害者側がつくるのはより当たり前だろう。政治的なプロパガンダ映画もあるだろう、しかし、良心的映画で、ヒット作もたくさんあるのではないか、しかし、それらが日本で、上映されているのだろうか。よく知らない。わかることは、そうした貴重な情報から、日本の若者は遮断されている、ということだ。

自国の軍隊が、よその国で何をしたか、それを知ることは、これからのアジア親善の基礎だろう。しかし、安倍政権は、「孫子の代に、過去の負債を残さない」とか、「もう十分謝罪した」として、過去を語ろうとする学者や教育を「自虐的だ」と批判し、抑圧してきた。ドイツ人は、心から反省しているから、ナチス批判の映画を批判したりはしない。仮に、日本で今日本兵を告発する映画が作られ上映されれば、細かいあらさがしをして、この映画は、虚偽だ、などと、裁判を起こしたり、大騒ぎになるだろう。それが恐ろしいから誰もそういう映画を作りたがらない。

現在の、徴用工問題に対する、日本人の、安部氏への同調的雰囲気は、過去についての無知の上に成り立っていることを危惧する。無知の最も有害な点は、自らの無知に気づかず、為政者に踊らされることだ。

2019年7月22日月曜日

安部氏、三度目の敗北

今回の参院選では、安部総理は、憲法改正を公然と争点にたが、憲法発議に必要な3分の2議席を維持できなかった。その意味では、安部総理の野望は一歩後退した。安部氏の失敗はこれで3度目である。

安部氏は、前々から、2020年憲法改正を目指していた。そして、憲法審査会の審議をせっついてきた。しかし、性急な安部氏のやり方に自民党内からも反発があり、「安部氏が主張するごとに、反対が増える」などといわれ、ずるずる、昨年12月、臨時国会も終わりに近づいた。次の年に持ち越すと、天皇代替わりや参院選があり面倒である。何とか、臨時国会中に、憲法審査会開催の実績だけでも作りたい、というわけで、12月は安部氏にとって、一つの山場だった。櫻井よしこ氏ら、日本会議の人たちが、議事堂に集結して決起集会を開いたりした。しかし、9条守れの市民運動の声に押された野党の抵抗が勝り、憲法審査会は、開かれなかった。このことは、翌日の新聞でも大きい記事となり、ことの重大性がわかる。この時、安部氏は、第一の敗北したといえる。

参院選で、3分の2の多数派を維持することは困難であることは、誰の目にも明らかだった。それを防ぎ、一挙に憲法改正の雰囲気を作る窮余の策として、参院選を衆参同日選挙にして、大勝利する、その可能性は十分ある、安部氏はそう考えた、と、私は推測している。6月ころ盛んに吹いてきた解散風は、不思議な風だった。あれは、安部氏周辺から吹いてきたとしか思えない。安部氏には、解散したくとも、解散の大義名分がない、やむなく、解散風を吹かせ、衆参同日選挙を狙ったのではないか。しかし、この作戦は、身内のオウンゴールで、失敗する。金融庁の審議会が、「年金だけでは足りない、2000万円貯蓄せよ」という、報告書を出したのだ。これが大問題となるや否や、解散風はピタリとやんだ。ダブル選挙どころではなくなった、年金報告は、それほどの爆弾だった。こうした経緯が私の、解散風の犯人の推測の根拠である。この時、安部氏は第二の敗北をした。 

そして、今回の敗北、これで3度目である。敗北としては、1度目が大きい、2度目と今回の敗北は、いわば悪あがきの結果の敗北である。

2019年7月21日日曜日

トランプ再選のおそれ

トランプ氏という世界最大の不幸が、延長される心配がでてきた。

3年前、大方の予想を裏切って、共和党トランプ氏が、民主党ヒラリー・クリントン氏に勝利した理由の一つは、民主党の党内分裂にあっただろう。民主党内で、大統領候補を選ぶ過程で、自称社会民主主義者のバーニー・サンダース氏が、若者の支持を集めて、どんどん勢いを増し、本命といわれたクリントンと伯仲した選挙戦をした。最終的にクリントンが勝って、民主党の大統領候補になったが、激しい党内闘争の結果、しこりが残り、肝心の大統領選で、民主党の結束が弱まった。

来年になった、大統領選に向けて、同じパターンが繰り返される恐れがでてきた。今、民主党内では、オバマ時代の副大統領のバイデン氏、サンダース氏が、党内支持率のそれぞれ一位、二位を占めている。バイデン氏は穏健派でクリントン氏と類似の政策だ。サンダース氏は左派で、もっと急進的改革を提案している。民主党内では、サンダース氏を支持する急進派は以前より勢いを増している。オカシオ・コルテス氏等、元気のいい若手女性候補者もサンダース氏に近い。しかし、党全体をまとめるには至らないから、バイデン支持が最も大きい。つまり、民主党は、4年前同様に、穏健と左派の対立が深まりつつある。

これが日本なら、サンダース氏ら左派は、党を割って、新党をつくるところだろう。しかし、アメリカの選挙制度は、新党にものすごく不利にできていて、二大政党を維持するようにできているから、民主党にしがみつくしかない。

今のままだと、トランプ再選の恐れがある。彼は、歴史を逆回りさせ、世界に害悪をもたらす、最大の悪の根源だ。ダース・ベーダーだ。トランプに比べれば、安部氏などはかわいいものだ。トランプ再選は、絶対阻止すべきだ。

2019年7月20日土曜日

中立という抑圧

若者の投票率が相変わらず低い。学校での政治教育の必要性が叫ばれてきたが、あまり効果をあげていないようだ。それを妨げているのが、「教育の中立性」ではないか。

例えば、集団的自衛権は、憲法学者の大多数が違憲であると思っている。すると、授業で教える時、どう教えればよいのか。そうした実体を率直に教えるのが、「教育の中立」ではないのか。
しかし、政府のいう教育の中立は、どっちにも肩入れするな、両論併記で行け、という、両論の真ん中を行く中立である。それを守らない者は、「偏向教育」である、というレッテルが教師を絶えず脅かす。

だから、仮にヒットラーのような人がでてきても、学校では、両論併記で、両方の言い分をきちんと紹介することが求められる、これが中立だ。事実をゆがめ、嘘で塗り固められた主張でも、両論併記して、あとは君たちが自分の力で考えなさい、これでは、まだ判断の力が十分でない若者は、わけがわからず無関心になってしまう。

こうした「中立」というごまかしは、教育だけではない。昨年だか、国連の人権委員会のディビット・ケイという委員が、日本では報道の自由が脅かされている、と警告を発した。そのさい、問題にしたのが、放送法第4条である。そこでは、「政治的公平性」がうたわれているが、「公平性」が報道抑圧の手段になっている、というのだ。報道各社は、この「公平性」にビビッて、政府に不都合な報道を自主規制するようになっている。つまり、政府に忖度するようになる。国民は、政治がよくわからいようにされている。日本の投票率の低さは、先進国の中で、異常ではないか。


2019年7月19日金曜日

憲法審査会とは

安倍総理が、憲法改正を盛んに喧伝している。そして、野党は憲法の議論を避けていると批判して、「憲法を議論する党か、議論を回避する党」か、を争点にしようとしている。

確かに、野党は、「憲法審査会」の審議を拒否して、そのため、安部氏の憲法改正推進は、一歩も前進できずに来た。では、野党は憲法論議をなぜ拒否するのか。

そもそも、「憲法審査会」とは、2007年に制定された国民投票法とセットで制定されたところの、はじめから憲法改正を論議するための、「審査会」である。それは、巧妙な、改憲の足掛かりともいえる。これを開催すると、多数派の与党の思うがままの、改憲が始動するのは、目に見えている。

野党は、憲法論議を拒否しているわけではないだろう。例えば3年前に、今まで自民党でさえ、違憲としてきた集団的自衛権を、無理やり合憲だと閣議決定して、国民の反対を押し切って、憲法違反の安保法制を強行採決したのは、安部氏だ。参考人として国会で意見を述べた3人の憲法学者全員が、安部氏の法案を憲法違反だと明言した。

危機感を感じた多くの若者、母親、市民が立ち上がり、「立憲主義を守れ」と叫んだ。それは、60年安保以来の大闘争になった。つまり、憲法を議論せず、数の力で踏みにじってきたのは、安部氏だ。

安倍氏は、憲法審査会を開けという、しかし、そこで、違憲とされた安保法制を審議するわけではない。なぜなら、憲法審査会は、憲法改正のみを議論するところだからだ。このようなズルいやり方に、野党が反発するのは当たり前だ。堂々と議論せず、詭弁で相手を攻撃する安部氏の手法に、国民はいつまで騙されるのだろう。

2019年7月18日木曜日

党議拘束、再び

参院選が近づいている。人々は、党を考え、候補者個人を考え投票する。しかし、党議拘束の強い日本で、候補者個人を考えることに、どれほどの意味があるのか。次の例を考えてほしい。
例)「ドナルド・トランプ米大統領が野党・民主党の女性下院議員4人に「もとの国に帰れ」などとツイートした問題で、米下院は16日、トランプ氏の言葉を「人種差別的な発言」と非難する決議が、民主党から提案された。」

その結果が次のAである。
A) 決議案は賛成240票、反対187票で可決された。野党・民主党の全議員と与党・共和党  の4議員と、無所属で元共和党の議員一人が賛成票を投じた。ここでは、党議拘束がゆるいおかげで、身内である共和党議員の造反がみられる。
仮に日本のような強い党議拘束があれば、票決は、次のようになっただろう。
B) 決議案賛成236票、反対192票 決議案可決
どちらも、可決という点では、同じだ。しかし、AとBでは、伝わる情報量が格段に異なる。
Aでは、身内である与党の議員が4人も賛成に加わるということは、トランプ氏にとって痛手だ。票決の重さが、格段に増える。そして、残りの共和党員は、強いトランプ支持であることもわかる。また、各議員が真剣に考えたことも想像できる。
Bでは、党議拘束のベールに隠れて、議員個々人が真剣に考えたかどうかさえ、見えてこない。採決する前から、議院数が多い民主党の賛成で、議案が通るという結果はわかっている。議論そのものがむなしい。
民主主義の立場から、どちらがいいかは明らかだ。日本の議会はBだから、議会から得られる情報量は、極端に少ない。強すぎる党議拘束は絶対おかしい!

2019年7月17日水曜日

飯館村、酪農再開

原発事故で、全村避難を強いられた福島県飯館村で、8年ぶりに乳牛の飼育が始まったというニュースを昨日見た。詳しくはしらないが、肉牛は16年に始まっているらしい。

今迄の、飯館の苦しい復興の道のりを、時々Eテレなどで、見てきたが、森林地帯には放射能がまだ手付かずであり、菅野村長ら帰還復興派と、放射能不安のため、相当数の残留派もいる中での、復興と聞く。

飯館村は、その悲劇のため、復興の象徴みたいにもなっており、国もそれなりに予算を割いてきたのではないか。そんなわけで、21日の参院選直前の、この朗報は、安部自民党にとっても、朗報だろう。自民票が確実にふえるだろう。今、福島県では、野党共闘で一本化した統一候補を相手に、自民党は、相当厳しい闘いを強いられている。

しかし、自分の故郷に帰り、以前のように、農業や酪農をしたい、百姓たちの思いに嘘はない。周りの思惑などと関係なく、力強く、歴史を前にすすめるだろう。素直に、おめでとう!といいたい。

2019年7月16日火曜日

徴用工問題再び

徴用されたのは、朝鮮人(当時日本人)だけではない。例えば、工場は、労働者を兵隊にとられて、その不足を補うために、学生が、学業を放棄して、勤労動員された。そもそも、徴用工自体、働き手がみんな戦争に駆り出され、その労働力不足を補うためだ。

しかし、徴用よりもっとひどいのは、「徴兵」だ。赤紙一枚で、ほとんど生きて帰る希望がない戦地に駆り出された。その絶望と家族の悲劇を思えば、国は、その賠償の責任があるだろう。現在、朝鮮の人たちが、裁判を起こしているように、徴用や徴兵された日本人も、もう少し被害者意識を持ってもいいのではないか。

残念ながら、多くは、天皇制教育のおかげで、喜んでお国の為に出征したことになっている。しかし、少なくとも、当時、戦争に反対していた人たち、選挙権もない年齢の「勤労動員」の人は、裁判をおこす権利があるのではないか。

現在、多くの日本人は、徴用工問題で、韓国に批判的だ。しかし、私たちの祖父や祖母も又、徴用工裁判の韓国人の原告と同じく、日本軍国主義の犠牲者だった、このことを忘れてはいないだろうか。

2019年7月14日日曜日

フランスのデジタル課税法

フランスのマクロン政権が、懸案のデジタル課税法を可決したという。グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン等GAFAをはじめとする巨大デジタル企業への税である。
対象企業は、世界市場での売り上げ計が915億円以上で、フランス国内売り上げが30億円以上の企業である。税率は、デジタルサービス収入の3%を課税するという。多国籍企業に対する主権国家の真っ向勝負として見ものだ。欧州内で、追随する国が出る可能性もあるという。もしそうなれば、多国籍企業に対する規制の大きい一歩だ。

米IT企業は、国際税制の抜け穴を利用して、税逃れをして発展してきた。それを裏で支えているのが米政府だといわれている。日本も、アメリカに追随して、規制には熱心ではない。先日、G20で、安部総理は、「大阪トラック」と称してデジタル情報の自由な流通を目指すルール作りを提案したが、規制の議論はあまり聞こえてこなかった。

2019年7月13日土曜日

徴用工問題、別の見方

欧米をはじめ、日本も、重大な宿題をまだ果たしていない。それは、過去の植民地の清算である。世界第二次大戦のあと、色々な取り決めを作り、戦後体制ができたが、その際、植民地の問題は不問に付された。なにしろ、当時アメリカをはじめ戦勝国は、まだ植民地を持っていて、独立の要求を盛んに抑えている最中だったからだ。そんな世界の潮流にのって日本は、未だ朝鮮半島の植民地について、公式的な謝罪はしていないし、日韓の諸条約でも、決して植民地が悪かったなどとはいっていない。これは日本でけではない。大国の間には、「当時は合法だった」という居直りが、今も残っている。

しかし、途上国がいつまでも黙っているはずがない。次々と声を上げている。
ドイツ植民地時代のナミビアでの虐殺にたいし、昨年メルケル首相が公式謝罪した。ケニアでの「マウマウ団」への弾圧とか、インドネシアの虐殺な、次々に裁判が起き、イギリスやオランダが謝罪和解している。時代は少しずつ進んでいる。

今の韓国での、徴用工問題もこの流れで考えるべきだ。日本は、「十分謝罪した」、とか、「国家間で決着したものを蒸し返している」などと言っているが、植民地に関して謝罪していない。だから、決着もしていない。

2019年7月12日金曜日

自由経済と平和

戦国時代、大名は、自分の身内を、敵になるかもしれない他国の大名に人質として差し出すことは、頻繁にあったようだ。秀吉は家康に自分の母親を、家康自身も小さいとき、今川の人質だった。戦国時代は、裏切りや寝返りが当たり前の、お互い疑心暗鬼の状態では、こうした方法が、平和維持の方法として有効だったのだろう。悲しい話だ。

現在、いくらアメリカと中国が、対立しても、誰も戦争が始まる心配をしない。それは、多国籍企業が、お互いの国に入り込んでいるから、お互い、人質を出しているのと同じで、戦争ができないからではないか。

自由経済は、色々問題もあるが、平和という、かけがいのないものをもたらした。今、トランプ氏や安部氏は、経済制裁みたいなことをして、経済を脅しの手段として、政治的目的を達成しようとしている。やることが逆だ。これではお互い損をする。
経済を、平和の手段として最大に利用しながら、政治目的を達成すべきだ。

2019年7月11日木曜日

男女平等の旗手、アメリカ女子サッカー

フランスで行われたサッカー女子ワールドカップは、前評判どうり、ランキング1位のアメリカが2-0でオランダを破り、2年連続の優勝をした。私は、それほどサッカーが好きでもないし、よく知らない。しかし、彼女らが世界にもたらしたメッセージは、サッカーにとどまらない。

優勝以前に、トランプ氏が、チームメンバーをホワイトハウスに招待したいと述べたのにたいして、(差別者の住む)ホワイトハウスなど行きたくない、と公言して、怒ったトランプ氏が「まだ勝ちもしないうち、かってなことをいうな、ちゃんと仕事をしろ」など、色々あったらしい。スポーツ選手が、国家のトップを公然と批判するなど、忖度社会の日本では考えられないことだ。

サッカーでは、男子選手と女子選手との間の報酬格差が大きく、彼女らはそれに前々から抗議していたから、今回の優勝後、スタジアム全体が「平等な報酬を!」の大合唱で盛り上がったという。

アメリカ女子サッカーが強いのには理由がある。彼女らは、タイトルナインのおかげだという。タイトルナインとは、1972年に成立したアメリカの教育法第9編であり、その内容は、教育での性差別の禁止だという。これにより、アメリカのスポーツ環境が一変した。例えば各大学のスポーツ予算で、女子は2%にすぎなかったのが、一挙に40%になったという。その結果、現在アメリカの女子サッカーの競技人口は167万人、日本の5万人に比べ、30倍だ、強いわけだ。今回のアメリカ選手も23人中、21人は大学生か大学卒業者だという。

2019年7月10日水曜日

ペットと鯨

お金儲けの餌食となっている動物達を保護するための、「改正動物保護法」が、今国会で全員一致で決まったそうだ。それによって、生後56日未満の幼齢の犬猫の販売が禁止されたり、動物虐待の罰則が強化されるという。「犬猫殺処分ゼロを目指す議員連盟」という自民党から共産党までを含む、超党派の議員連盟による提案らしい。国会が、こんなのどかな話題ばかりならいいのだが。

人権保護の意識は、動物保護の意識へと拡大するのは、当然の成り行きではないだろうか。そういう意味で、その国が、どれほど動物を大切にするかは、その国の人権の進み具合のバロメーターでもありうる。日本の動物保護は、動物園なども見ても、先進諸国に比べ、まだまだ遅れているらしい。ということは・・・・。

動物の権利保護という観点で考えると、捕鯨反対は、歴史の大きな流れの中で、普遍的正当性の側に立っているといえる。日本が主張するように、「日本古来の食文化」というだけでは、いずれ持ちこたえられない日が来そうな気がするが、どうだろうか。

2019年7月9日火曜日

森林を守れ

日本は、豊かな森林がありながら、外国から大量の木材を輸入している。そこで政府は、林業を成長産業にするといって、「改正国有林野管理経営法」を、今国会で成立させた。

この法律によって、民間業者は、全国の国有林を、最長50年間、大規模に伐採・販売する権利を得ることができるという。しかし、その中身は、林業の大規模化によるコストダウンを狙うあまり、自然破壊の未来が、ほぼ確実と思える。

例えば、伐採したあと、業者は、再造林や森林育成の義務がない、という点だ。これでは、50年後には、全国にはげ山が続出するではないか。
森林には、水源涵養とか、災害防止、生物多様性保全など、様々な機能があるが、そうした機能への配慮も見られないという。企業の儲け最優先の法律ではないか。

今迄、何とか林業を持続可能な産業として育成しようと頑張ってきた地元の努力を無視して、大資本をどかどかと参入させる、それが政府の「成長産業」化の政策だ。
成長産業にするという名目で、大規模化を進める、このやり方は、農業、漁業、林業どれも同じだ。自然豊かな日本の風景は、これからどうなるのだろう。このままだと、最後には、日本に残るのは、自動車産業だけになりそうだ。

2019年7月8日月曜日

党議拘束制度と議会

普通の会議では、議論を十分したうえで、最期は、採決をする。本当は議論が深まって、全体一致でできるのがベストだろうが、普通そうならないから、採決して多数決で決める。議論の過程で、今まで原案に反対だったのが、賛成に代わることは大いにありうるだろう。議論はそのためにある。

しかし、国会では、党議拘束といって、党の決定通り、賛成反対の行動をしなければならないから、議論をして意見が変わることはない。もし、意見が変わって、党の方針に背く意思表示をすれば、あとで、懲戒とか、重い場合除名などの処分を受ける。党議拘束がある限り、国会の議決がどうなるかは、はじめからわかっている。議論は、世論喚起にはなるが、採決には、何の影響も与えない。だから、最期は、「議論は十尽くされた」として、採決動議がだされる、それに対して、野党は、まだ議論不十分といって抵抗するしかない。これは「強硬採決」をめぐる何度も繰り返される悲しい光景だ。
党議拘束があるのなら、採決の可否は、はじめからわかっているのであり、議論などは必要がないということになる。

アメリカなどの議会を見ると、与党共和議員が、原案反対に回り、トランプ氏の原案が否決されることが何回かあった。それでも、そうした議員は、懲戒処分等受けない。それだからこそ、議会に緊張感があり、議論も熱をおびるだろう。日本と同じ議院内閣制のイギリスだって、メイ首相の原案が、与党の造反で、否決されている。

日本のあまりにも厳しい党議拘束は異常ではないか。それは議会を形骸化させる。なんとかすべきではないか。


2019年7月5日金曜日

七夕伝説

明日とあさっては、県外にでるので、2016年の7月6日の旧ブログを大幅改変したものを、今日のうち再録せさせていただきます。

七夕の牽牛と織女の悲恋の話は、中国からきたのだろう。勝手な解釈をさせてもらうと、牽牛は、耕作であり、織女は、機織りという、当時の主要産業であろう。お互い、恋に溺れて、仕事を怠けたので、天の川を挟んで、1年に1度だけ会うだけという、厳罰を受ける。どこか、支配者が、「人民よ、ちゃんと働けよ」と、戒めているような気がする。あるいは、今思いついたのだが、これは強圧的支配に苦しむ人民達が、悲劇仕立ての民話の形を借りて、その無慈悲な統治者に抗議をしているのではないか。

だとすると、このような支配者は長続きはしないだろう。なぜなら、1年に一度の出会いでは、結婚もできないし、支配者は、やがて人口減少といういっぺ返しをくうだろう。ここまで考えて、気づいた。現代日本の若者たち、非正規で結婚もできない、できても子供をつくる余裕がない。彼らこそ現代の織姫彦星だ。

北朝鮮の核放棄

北朝鮮、と何気なくいってしまうが、南北の分断を容認固定化するこの言い方は、南北の両朝鮮とも容認できないところの差別用語であることをわすれてはいけないだろう。ましてや、この分断の悲劇について、その以前まで植民地支配をしていた日本には、重い責任の一端はあるのだから。

アメリカは、制裁解除の条件として、完全な非核化を要求しているが、なかなか交渉が進展せず、今回のトランプージョンウンの電撃会談になった。しかし、完全な非核化と言葉ではいうが、ことはそう簡単ではないらしい。

北の核施設を4回視察している、核の専門家、米ロスアラモス国立研究所のベッカー元所長が、昨年語った話によると、非核化は10~15年かかるという。それは次のような工程表が必要だという。1.核凍結に1年 2.縮小に2~5年 3.廃絶に6~10年 


核兵器の平和的放棄に、世界が成功した唯一の例は南アフリカだ。しかし、この南アフリカの場合でさえ、主要構成部品解体に2年半かかり、全般的除去に10年要したという。
こうしたことを考えると、一括方式は現実的ではないのは、明らかだ。

私の推測だが、トランプ氏も、段階的交渉もやむを得ないと考えているのではないか。しかし、強硬派の側近ボルトン補佐官がいる。これから、二人の間に対立が起きるのか、どうか。

2019年7月4日木曜日

アメリカ独立記念日

今日7月4日は、アメリカが、自分の母国のイギリスと戦争までして、独立を勝ち取った喜びの記念日だ。(1776年)厚木基地では、毎年、花火があがる。基地そのものは、迷惑な施設でなくなってほしいが、アメリカの独立が、偉大な世界史的大事件であることに変わりはないし、それを祝う気持ちはよくわかる。

イギリスと絶えずいがみ合っていたフランスは、当然アメリカを応援し、独立のお祝いに、自由の女神をプレセントした。当時フランスも、革命前夜で思想的にも、熱い共感の気持ちがあったのだろう。そのフランスも、13年後の1789年に、フランス革命をおこし、ブルボン王朝を倒し共和制となった。自由や民主主義や人権はこのころから現実化した。

おととい、7月2日は半夏生、7日は七夕、昔、田舎にいるころ、「タチアオイの花が、てっぺんまで開花したら梅雨が明ける」という言い伝えがあった。夏がそこまで来ている。セミの幼虫たちは、木の根っこで、数年待って遂に来た自分の出番をじっと待ち構えているだろう。

2019年7月3日水曜日

米中軍拡競争

オバマ時代の対中国政策は、何とか中国を、アメリカ中心の世界秩序に組み入れようとするいわば宥和政策だった。地球温暖化のパリ条約もそれで成功した。代わりに、中国の海洋覇権の拡大には、ほとんど寛容だった。

しかし、中国がアメリカを追い抜く現実が差し迫った今、アメリカにはそのような余裕はない。今は、むき出しの世界覇権の争いになっている。貿易戦争だけならまだいい。これが軍事的覇権の競争、つまり軍拡競争になりつつある。それは恐ろしい。

軍拡競争はすごい金がかかる。だから、同盟国にはもっともっと負担してもらう必要がある。トランプの安保不平等発言は、どうもその線に沿った発言に見える。というのも、トランプ内で、今、Cost plus 50 作戦があるという報道が3月にブルームバーグからなされたという。これは、同盟国には、基地のコストを全額負担したうえ、更に50%の上乗せをしてもらうとする計画だという。50%上乗せの理由は、アメリカに防衛してもらうという特典の費用だそうだ。

日本はすでに中期防で、2019~2023年の間に、一機116億円のF35戦闘機を105基買うことを閣議決定している。これだけでも、1兆円の爆買いだ。まだまだこんなものではすまないアメリカからのごり押しがきそうだ。

2019年7月2日火曜日

昨年、塩辛が食えなかった

昨年は、新鮮なイカが高くて少なくて、一回も塩辛を作らなかった。これは、私にとって事件だ。新鮮なイワシ、イカ、サンマ、サバなどが安く食べれれる。これは、私にとって、憲法9条の次位に重要な、守るべきアジェンダだ。しかし、今それが危ない。

とある財界シンクタンクが、今「漁業協同組合は資源管理に不適格だ」として、沿岸漁民が引き継いできた「漁業権」を廃止する提言を発表したという。資源保護のための科学的管理の必要性がその理由だ。結果として、大企業が好き勝手に儲けるチャンスが増えるのではないか。

以前自民党の甘利農水大臣(当時)が、農業を「産業」にしなければならない、と息巻いていた。要するに、農協を弱体化して、外部資本参入を推進して、大量生産で儲かるようにするということだろう。効率を全面否定するつもりはない。しかし、農業が、大規模化にふさわしいかどうか、世界の潮流はかならずしもそうではないようだ。国連などは、家族農業、小規模農業の重要性を盛んに宣伝しているし、その方向の世界的運動も盛んらしい。

漁業も同じことがいえるだろう。大規模化が良いかどうかしっかり議論してほしい。いやなのは、今の政権は、きちんと議論せず、陰でどんどん力ずくで事を進めてゆく、その手法だ。


2019年7月1日月曜日

多国籍企業も応分の税負担を

今、社会を悪くしている最大原因の一つは、非正規労働という労働形態ではないか。1日8時間働いて、人並みの暮らしができない、これは、絶対おかしい。

しかし、悲しいかな、解決はなかなか困難だ。その理由の一つは、どの国も、熾烈な低価格競争をしており、その競争は避けて通れないからだ。労働者保護政策をすると、必然的に、法人税をあげるなど、企業負担が増える方向になる。すると、企業は税負担の少ない他国へ税逃れできる。それは困るから、国同士、企業を優遇する競争をせまられる。これを「底辺への競争」と呼ぶらしい。

一方、今一国では解決不能な、地球規模の問題が山積している。地球温暖化、感染症、貧困地域、国家間格差、環境汚染、資源破壊

これらのグローバルな問題に、グローバル企業は、応分の負担をしてもらうため、「グローバルタックス」という考えがあるという。多国籍企業への課税は、現在制度が追い付いていない、合法的にタックスヘイブンが行われている。国際会議によって、国際的課税の制度を構築することが、喫緊の課題ではないか。それにより、「底辺への競争」をなくし、最終的には非正規労働をなくすべきだ。G20は、そういう議論のためにあるべきだ。