今回の参院選では、安部総理は、憲法改正を公然と争点にたが、憲法発議に必要な3分の2議席を維持できなかった。その意味では、安部総理の野望は一歩後退した。安部氏の失敗はこれで3度目である。
安部氏は、前々から、2020年憲法改正を目指していた。そして、憲法審査会の審議をせっついてきた。しかし、性急な安部氏のやり方に自民党内からも反発があり、「安部氏が主張するごとに、反対が増える」などといわれ、ずるずる、昨年12月、臨時国会も終わりに近づいた。次の年に持ち越すと、天皇代替わりや参院選があり面倒である。何とか、臨時国会中に、憲法審査会開催の実績だけでも作りたい、というわけで、12月は安部氏にとって、一つの山場だった。櫻井よしこ氏ら、日本会議の人たちが、議事堂に集結して決起集会を開いたりした。しかし、9条守れの市民運動の声に押された野党の抵抗が勝り、憲法審査会は、開かれなかった。このことは、翌日の新聞でも大きい記事となり、ことの重大性がわかる。この時、安部氏は、第一の敗北したといえる。
参院選で、3分の2の多数派を維持することは困難であることは、誰の目にも明らかだった。それを防ぎ、一挙に憲法改正の雰囲気を作る窮余の策として、参院選を衆参同日選挙にして、大勝利する、その可能性は十分ある、安部氏はそう考えた、と、私は推測している。6月ころ盛んに吹いてきた解散風は、不思議な風だった。あれは、安部氏周辺から吹いてきたとしか思えない。安部氏には、解散したくとも、解散の大義名分がない、やむなく、解散風を吹かせ、衆参同日選挙を狙ったのではないか。しかし、この作戦は、身内のオウンゴールで、失敗する。金融庁の審議会が、「年金だけでは足りない、2000万円貯蓄せよ」という、報告書を出したのだ。これが大問題となるや否や、解散風はピタリとやんだ。ダブル選挙どころではなくなった、年金報告は、それほどの爆弾だった。こうした経緯が私の、解散風の犯人の推測の根拠である。この時、安部氏は第二の敗北をした。
そして、今回の敗北、これで3度目である。敗北としては、1度目が大きい、2度目と今回の敗北は、いわば悪あがきの結果の敗北である。
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