2019年7月30日火曜日

天皇制軍国教育

昨日、NHKのファミリーヒストリーという番組で、俳優の仲代達矢(86歳)が、終戦時を思い出しながら、印象的なことを語っていた。1945年8月15日、周りの大人どもは、あれだけ鬼畜米英と、軍国主義的だったのが、たった一夜にして、アメリカ歓迎のゆるキャラ人間に変わっていた。その急変により、大人に対する深い不信の念を抱くようになった、と。

よく、日本人は天皇制教育によって、洗脳されたといわれる。本当に洗脳されたのなら、一夜にして、変わったりするだろうか。多くの国民はさほど洗脳されてはいなかったのではないか。

大岡昇平氏の「不慮記」という、自分のフィリッピンでの戦争体験をもとにした小説がある。彼は、左翼でも何でもないが、そこで見たのは、帝国軍人の精神的堕落だった。だから、彼は、本気で、友人と脱走しようとする。あれほど、天皇万歳と叫んでいる軍人ですら、闘いの正当性を、心の底から信じて戦っていたわけではない、だから、そのエネルギーは外に向かうというより、えばったり、下位の兵士をいじめたり、エゴイスティックな行動に向かう。

根本的に誤った侵略戦争を正当化するために、いくら軍国主義教育をして人間を洗脳しても、その教育は人間を深い所から変えることは不可能だった、のではあるまいか。

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