2019年8月2日金曜日

Facebook の仮想通貨

貨幣の発行権は、強大な国家権力の証だ。なにしろ、人が汗水流して労働する価値を、紙切れ1枚で、「印刷」できるのである。だから、国家ごとに、別々の貨幣をもつのも当たり前だ。EUは、腹をすえて経済統合しようとしたから、ユーロという人工貨幣を作った。単一市場は、単一貨幣であることが必須だろう。

世界は、グローバル化により、単一市場になりつつある。しかし、単一貨幣がない。仕方がないから、アメリカドルで間に合わせている。しかし、その結果、世界は、ドルに振り回され、アメリカは、特権的ステータスを得て、経済的に有利な立場となるから、色々得をする。ドルが世界貨幣であることは、歴史的成り行きの産物で、合理的根拠はない。だから、みんな内心不満を持っている。

そんな中、フェイスブックの会長が、仮想通貨「リブラ」を、2020年前半に運用開始する、とぶち上げた。今までも、仮想通貨はたくさんあるが、27億人の利用者を持つFBが、仮想通貨を始めるとなると、そのインパクトは大きい。世界中が慌てた。アメリカのFRB(連邦準備理事会=日銀みたいなもの)の議長は、さっそく「深刻な懸念」を表明した。それは、個人情報の保護、マネーロンダリング、消費者保護、金融の安定などが危うくなるというもので、それはもっともな懸念だろう。

しかし、世界貨幣としてのアメリカドルの特権的地位を廃止し、デジタルマネーを世界貨幣とすることは、技術的にも可能だろうし、公平の原則から、大変魅力的である。(勿論、一企業の独占であってはならないが。)それだけに、アメリカの抵抗も大きいだろうが。




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