先日、テレビでやってた映画の録画で、「万引き家族」を見た。評判通り面白かった。私は、是枝監督のことはよく知らないから、見当はずれなことかもしれないが、次のような問題を考えさせられた。それは、「家族という血のつながりは何なのか」という問題だ。
世の中には、血がつながらないでも、深い信頼や理解に基づいた関係はいくらでもある。そもそも、夫婦は、血がつながっていない。では、血のつながりは、それ以外のつながりでは、到達できない特別な何かがあるのか?是枝氏は、次のように言っているように思える。血のつながりという何か特別なものは幻想である。それは、遺伝子に対するフェティシズム(物心崇拝)にすぎない。
なるほど、親子のつながり、母と子、父と子、は、理性を越えた本能としか言えないような、強力な支配力を持つ。是枝氏ももちろんそれを否定しないだろう。しかし、私たちは家族と言えども、血のつながりに依存するのではなく、人間としてのつながりを追求しなくてはならない。そうしないと、急速に変貌しつつある社会の中で、家族という制度は生き残ることが困難になるにちがいない。だから、今必要なのは、家族の賛歌ではない、血のつながりからの精神的自立である、そんなことを思った。
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