2019年8月17日土曜日

加害国日本

8月は、広島、長崎の原爆記念や終戦記念日もあり、テレビ番組も、戦争の過去を振り返るものが多い。それらは、どれも、次世代に戦争の悲劇と教訓を伝え、二度と過ちを繰り返すまいとする良心のもとに製作されているのでしょう。毎年行われているこうした国民的行事が、平和憲法を守る大きな力の源泉の一つでもあると思います。しかし、ここには、一つ大きな問題もあります。

それは、いかに戦争中苦労したかは、語られますが、いかに他民族を苦しめてきたかは、ほとんど語られていない、という点です。私が、このことに気づいたのは、今年、珍しく、そうした加害者の視点に立ったドラマを、新鮮な気持ちで見たからです。NHKによる、「マンゴーの木の下で」という番組は、日本占領下のフィリッピンを舞台にした、戦争、敗戦、引き上げ、戦後の一人の女性(主演岸恵子)の物語ですが、その中では日本兵が、フィリッピンの農民から農作物を略奪する場面や、敗戦で現地の人から、石もて追われ、日本に帰る様子が、描かれてました。かなり控えめではあるものの、こうした「加害者」としての日本が描かれたのは、とても画期的だと思いました。

自分たちの父や祖父が、海外で、加害者であったということは、なかなか話題にはしたくないという心理があるのかもしれませんが、それでも、これを語らなかったなら本当の歴史の継承は不可能でしょう。私は、慰安婦問題にしても、徴用工問題にしても、日本国民側にもっと加害者としての歴史の継承があれば、もっと相互理解は進むのかなと思います。例えば終戦記念日一つとっても、日本にとっては悲しみと慰霊の日ですが、朝鮮の人にとっては、やっと植民地支配が終わり、マンセイ(バンザイ)を叫んだ喜びと解放の日でした。だから「光復節」という祝日なのです。180度違うこうした国民的感情をマスコミは全然伝えませんし、多くの国民も多分、知らない状態なのではないでしょうか。このギャップを埋める必要があります。




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