2019年8月16日金曜日

高校野球と人権

全国高校野球も、ベスト16まで絞られ、いよいよ盛り上がっている。昨年の秋田の金足高校に続き、、八戸学院光星、育英、鶴岡東と、東北から3高も残っているのも、優勝経験のない東北が上り坂である表れだろう。

ところで、今回の高校野球は、投手の肩を守るための球数制限が話題になった。それというのも、大船度高校の監督が、勝つことよりも選手の肩の健康管理を優先して、県大会の大事な決勝戦に、エースの佐々木選手を登板させず、結果、勝てたかもしれない試合をみすみす逃したからだ。この監督の判断は、英断とたたえる人と、批判する人の間で激しい論争を引き起こした。

ここ数年、柔道、女子体操、アメフト、相撲、レスリング等、次々不祥事が起きた。それは、偶然ではないだろう。人権意識が、スポーツ界にも、ようやく浸透し始め、その結果として、日本のスポーツの残存する、根性主義や、厳しい上下の秩序に対して、選手たちが反発の声を上げつつある。今回の選手の肩の問題もこの大きな流れの中でとらえることができるのではないか。それは次の理由による。

私は、高校野球が好きだが、丸刈りは好きでない、というより、全員例外なく丸刈りなのが気持ち悪い。ところが嬉しいことに、旭川大高校や秋田中央高校は、昨今の部活での暴力指導やパワハラ問題を念頭に、丸刈りをやめるという。これは、画期的な大事件である。今まで、全国何百何千の高校の野球部が、全部丸刈りという異常に人々はようやくNOの声を上げ始めた。彼らはファーストペンギンである。そうした背景を考えると、選手の肩をまもるという当然の人権問題が、ようやく問題にされ始めたととらえるのは、そう不自然ではないだろう。本当の歴史というのは、国会でつくられるのではない、こうして日々の風景が変わることで、前に進むのである。

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