格差の問題とは別に、労働者の賃金が、上がらないという問題があります。かつては、毎年春闘といって、年度初めには、民間、官公労一緒のの賃上げ要求ストライキがあり、その時の景気の好不況を反映した賃金の上昇がありました。しかし、「総評」という戦闘的な労組ナショナルセンターは、世界トップに上り詰めた大企業集団の力で、ねじ伏せられ、結局、御用組合みたいな、労使協調路線の「連合」に置き換わりました。その結果、賃金は上がらず、お金の健全な循環が滞り、安部氏までが、経団連に、もっと賃金を上げよ、と言い出すような、官製春闘となってしまいました。
こうした変化の背景には、労組の問題だけでなく、産業構造の変化があります。製造業が減り、サービス業が増えました。労働者が油にまみれ、ヘルメットをかぶっていたころは、労働者は、集団の仕事も多く、団結しやすい環境がありました。しかし、自動化、電子化、サービス化が進み、労働者の職場は、集団から、派遣など、バラバラの仕事になり、団結が難しくなることで、必然的に組合は弱くなるでしょう。(労働者の交渉力の低下)
ILO(国際労働機関)の報告によると、世界の労働者の賃金は下がり続け、今後も、AIやIoT(物のインターネット)等の影響で、事態はもっと悪くなると警告しています。働き方改革で、フリーランスの労働者が増えつつあるといいます。フリーランスと言えば聞こえがいいが、お前は個人事業者だから、労働者ではない、ということで、今まであった労働者としての権利(最低賃金等)は、すべてなくなります。ウーバーという企業は、スマホのアプリを利用した、タクシーの仲介をすることで、巨大な利益を得ましたが、その裏には、「フリーランス」の運転手の低賃金があるといいます。ILOは、こうしたデジタル日雇い労働者が今後増大することで、労働者の状態は、19世紀の悲惨な状態に逆戻りする危険がると警告しています。
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