今から約20年前に起きた、いわゆる「毒入りカレー事件」の息子が、「毒婦」副題「もう逃げない」という本が出版されたらしく、その紹介記事を新聞で読みました。私が関心を持ったのは、犯罪者の家族が、犯罪者同様に、社会から指弾され、悲惨な生活を強いられ、家族の人権が失われている、という問題です。
本人、田中ひかるさん(偽名)は、事件後、孤児院で暮らし、いじめを受け、今の頭に多数の傷があるといいます。社会にでてからは、ひたすら名前を隠し生きざるを得ませんでした。ある女性と恋仲になり、相手に素性を明かし、親にあったら、死刑囚に嫁にやれない、と言われたといいます。
こうした犯罪者の家族を救う組織は、仙台に一つNPOがあるくらいで、ほとんどなく、そうした人の情報も非常に少ないといいます。
私は、是枝監督の「万引き家族」の感想の所で、家族という紐帯から、個人の自立を述べましたが、ここでも、それが当てはまります。犯罪者の家族にまで、連帯責任を追及するのは、家族からの個人の自立を認めない社会の現れではないでしょうか。
かつて、人気司会者のみのもんたさんが、息子が破廉恥罪みたいなので、逮捕されたとき、朝の人気番組を降板しました。それは、世間の連帯責任論に屈服したのと同じです。あのとき、テレビ朝日や、みのさんは、そうした社会的影響を考え、逆に、個人の自立や権利を堂々と主張して、番組を降板せず、逆に問題提起をして、なおかつ社会に受け入れてもらったなら、日本中の、犯罪者の家族は、助かったかもしれません。また、あらわれるかもしれない、有名人の家族の犯罪、その時は、是非そうしてほしい。
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