一つは、オーストラリアのウルル(英名エアーズロック)の登山禁止です。巨大な一枚岩であるウルルは、土着の民族アボリジニにとって、神聖な山でした。しかし、そこは岩登りの人気の場所でもありました。最近ようやく、関係者の合意がえられ、岩登りが禁止になったということです。岩登りの愛好者は残念でしょうが、今までの、アボリジニの人たちの迫害の歴史を思うと、これはよいニュースだと思いました。
もう一つは、ハワイにある、標高4205mのマウナケア山です。マウナケア山はハワイの先住民たちにとっては雪の女神ポリアフをはじめ数々の神が棲む聖地とされる場所でもあります。
しかし、マウナケア山は、その山頂部の空気が澄んでおり天候も安定していることから、日本の「すばる望遠鏡」をはじめ、多数の望遠鏡が活躍しています。そして、今、すばるの次世代望遠鏡TMTの建設が、5か国の協力のもと、2021年の運用開始を目指して建設が始まろうとしています。
これに対して、ハワイ先住民は、これ以上の建設で、山が穢されるのに我慢ができず、反対運動を強めています。宇宙天文学が、人類にとって重要な学問だと思う私は、よそ事ながら判断に苦しみます。昔宗教に抑圧されたガリレオの代わりに、今度は宗教が譲ってほしい、そんな気持ちも頭をよぎります。
多様性を大切に、少数民族を大切に、言葉でいうのは、簡単ですが、現実はそう簡単ではないと思い知りました。
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